植毛ブログ|21歳一人でFUT手術 800株・約7時間の当日リアル③

21歳一人で受けたFUT植毛 手術当日のリアル アイキャッチ 植毛・髪の悩み

朝10時、クリニックの自動ドアの前で深呼吸をしました。

前夜はほとんど眠れず、片道3時間以上の電車に揺られて到着したばかり。一緒に来てくれる人はおらず、一人。リュックには大きめのキャップが入っていて、それは「術後の包帯を隠して帰るため」のものでした。

これから始まるのは、自分の人生で初めての全身管理下の手術。費用は1年バイトで貯めた約50万円(2000年代後半当時)。21歳の僕にとって、これ以上ない大きな決断でした。

この記事は、植毛シリーズ第3話・手術当日編です。

  • 朝10時から夕方17時までの約7時間、何が行われたのか
  • FUTの麻酔ってどんな感覚?痛みは?
  • 一人で受けて電車で帰った帰り道のリアル
  • 実家で家族にバレないように過ごした、眠れない夜のこと

体験者にしか書けない一日を、時系列で正直に記録します。


【この記事を書いている人】

  • デコ丸(アラフォー/生まれつき額が広い・軟毛・細毛)
  • AGAではなく生え際形成目的の自毛植毛を21歳・23歳の2回経験
  • 1回目:FUTで有名な老舗クリニックでFUT(ストリップ法)/費用約50万円・2000年代後半当時
  • 2回目:同じクリニックでFUT/費用約60万円・2000年代後半当時
  • 医療従事者ではなく、一個人の体験記録です

※この記事はデコ丸個人の体験に基づくものです。医療従事者ではなく、医学的な情報提供を目的としていません。植毛を検討される方は、必ず医療機関にご相談ください。感じ方や結果には個人差があります。


最初に正直に伝えておきたい3つのこと

本編に入る前に、この記事を読む上で大事な前提を3つだけ書かせてください。

① 当日の写真は1枚も残っていません。

実は、当時撮った写真はありました。後頭部の包帯姿も、術後の生え際も、自分のスマホ(当時はガラケー)で撮影していました。

でも──髪がしっかり生え揃ったあと、僕は全部消してしまったんです。「ネガティブな記録を残しておきたくない」という心理が働きました。「ブログを書く未来」を当時の自分が知っていれば、絶対に残しておいたのに、と今になって後悔しています。

代わりに、第2話で後頭部の傷跡写真を公開しているので、そちらは参考になると思います。現在の生え際の写真は、シリーズ第6話「約20年後の今」で公開する予定なので、結果が気になる方はそちらも合わせて読んでもらえたら嬉しいです。

第2話:クリニック選び編(後頭部の傷跡写真あり)

② 21歳・800株・FUTの体験記です。

僕が受けたのはFUT(ストリップ法)の1回目で、800株を生え際に移植する手術でした。今は主流のFUE系術式とは違うので、現在検討している方の参考にする際は「術式が違う」ことを念頭に置いて読んでください。

③ 「快適だった」とは書きません。

体験記の中には「ぜんぜん痛くなかった」「想像より楽だった」といった話もあります。でも僕の場合は、痛みもあったし、帰宅後に仰向けで眠れなかった夜もありました。読者が判断材料にできるように、良い面も悪い面もそのまま書きます


朝10時、一人で電車に乗る — 前夜眠れなかった

手術日の前夜、僕はほとんど眠れませんでした。

「もし手術中に何かあったら」「想像より痛かったらどうしよう」「結果が思っていたものと違ったら」──いろんな不安が頭の中をぐるぐる回って、布団に入っても目が冴えたまま朝を迎えました。

当日の朝、家を出たのは早朝。クリニックまで片道3時間以上かかる場所に住んでいたので、朝10時の予約に間に合わせるには始発に近い電車に乗る必要がありました。

付き添いはいません。一人で行きました。

家族には植毛のことを話していません。「友達のところに泊まりに行く」とだけ伝えて家を出ました。実家暮らしの大学生にとって、家族に内緒で大きな手術を受けるというのは、緊張の上にもう一段の緊張を重ねる行為でした。

リュックの中身はシンプルでした。大きめのキャップ、財布、保険証、それくらい。キャップだけは絶対に大きいサイズを買って持参するように、事前にクリニックから案内されていた気がします。理由は後でわかりました。


受付から手術台まで(会計は手術前)

クリニックに着くと、すぐに受付。

そして印象的だったのが、会計は手術前だったこと。

「術後は麻酔の影響でぼんやりしているし、疲れているはずなので、会計は先に済ませていただいています」──そんな趣旨の説明だったと思います。約50万円を支払うときの感覚は、今も忘れられません。1年間バイトで貯めた金額が、一瞬で口座から消えていく。後戻りできないんだ、という実感がここで一気に来ました。

そのあとは更衣室で全部着替え。普段着からすべて手術用の服に切り替わります。

手術前に最後の説明と同意書のサインがありました。リスクや起こりうる合併症の説明もこのときに受けたと記憶しています。サインしながら、もう一度「本当に受けるのか」と自分に問い直しました。

答えは、Yesでした。


前半:うつ伏せでドナー採取(意識1分で消失)

手術室に通されたあと、まずはうつ伏せで手術台に乗ります。

FUTは後頭部の頭皮を帯状に切除してドナーを採取するので、うつ伏せの姿勢でないと施術できないんです。

最初に来たのが、後頭部への麻酔注射

チクッ、と針が入る感覚は確かにありました。でも、それから1分も経たないうちに意識が遠のいていきます。「あ、いま意識が落ちる──」と感じた瞬間にはもう記憶が途切れていました。

次に意識が戻ったのは、肩を軽く叩かれたときでした。

「終わりましたよ」と声をかけられて、ぼんやり目を開ける。すでに後頭部のドナー採取と縫合は完全に終わっていて、頭にはガーゼが当てられていました。800株分の毛包が、この間に僕の後頭部から取り出されたわけです。

意識がない間に何が起きていたか、自分では一切わかりません。気づいたら終わっていた──というのが正直な感覚です。


休憩1時間 — うどんを完食、その裏で株分け

ドナー採取後は、別室の小さな休憩室に案内されました。

スタッフの方に「お昼、どうしますか」と聞かれて、うどんの出前をお願いしました。後頭部に違和感はあったものの、麻酔がまだ効いていたおかげか、痛みらしい痛みはなく、普通にうどんを完食できました。

休憩はだいたい1時間ちょっとだったと思います。

この間、別のスタッフが採取したドナーの株分け作業を並行して進めていました。1株ずつ顕微鏡下で分けていく緻密な作業で、僕が休んでいる間にずっと続けられていたわけです。

「機械化された流れ作業」というよりは、「一人ひとりの患者のために、複数のスタッフが分業で動いている現場」という印象でした。手術自体への信頼感が、このときに少し増したのを覚えています。

休憩中にトイレも済ませて、後半戦に備えました。


後半:座位で生え際に移植(再び意識なし)

後半は、最初とは姿勢が違います。

背もたれを45度くらいに倒した椅子に座る形でした。生え際にスリットを入れて1株ずつ植えていくので、術者から見やすい角度がこの座位なんだと思います。

ここでも麻酔の注射がありました。前半と同じく、効き始めるとすぐに意識が落ちていきます。

正直、麻酔のかかり方や手術中の細かい流れは、自分の記憶があまりありません。気になる方は、植毛クリニックの公式サイトに「治療の流れ」として詳しく載っていることが多いので、そちらを参照してみてください。

次に目が覚めたとき──頭にはぐるぐると包帯が巻かれていました。

時計を見ると、夕方17時頃。朝10時に到着してから、約7時間が経過していました。800株を移植する手術が、無事に終わったということでした。


帰り道 — 麻酔のだるさと片道3時間の電車

包帯はその日、外せません。「明日まではこのままで」と説明を受けました。

ここで活躍するのが、出発前にリュックに入れておいた大きめのキャップ。包帯の上からすっぽりかぶれるサイズだったので、外から見れば「ちょっと深めにキャップをかぶった人」にしか見えません。

帰り道は、片道3時間以上の電車。

正直、しんどかったです。

麻酔の影響でまだ頭がぼんやりしていて、体もだるい。後頭部の傷もズキズキし始めている。「早く家に着いて、横になりたい」──頭の中にあったのはそれだけでした。

もし、ホテルを取って近隣で一泊できるお金があれば、絶対にそうしていました。実際、地方から手術を受けに来る人や、自宅から離れたクリニックを選んだ人は、当日近くのホテルに泊まって翌日帰宅するケースも多いと聞きます。でも当時の僕にそんな余裕はなく、選択肢はただ一つ「電車で帰る」だけでした。


帰宅後 — 家族にバレない作戦と眠れない夜

家に着いたのは、すでに夜でした。

最大の難関は、家族にバレないこと

実家暮らしで、植毛のことは家族に話していません。「友達の家に泊まる」と言って出てきたのに、その日のうちに帰ってきた上に、頭には包帯が巻かれている──説明できる状態ではありませんでした。

玄関を開けて、家族と顔を合わせる前に「疲れたから今日はもう寝る」と一言だけ伝えて、自分の部屋に直行しました。キャップは脱がず、包帯も見えないように。階段を上がって自室のドアを閉めるまで、たぶん30秒くらいだったと思いますが、体感ではもっと長かったです。

部屋に入って、ようやくキャップを脱げました。

ただ、ここから本当の試練が始まります。

後頭部の傷が痛んで、仰向けで寝られないんです

普段の寝姿勢である仰向けが、まったくとれない。横向きになっても、寝返りを打つたびに後頭部が枕に当たって痛みが走る。痛みに耐えながら、浅い眠りを途切れ途切れに繰り返した夜でした。

クリニックからは、抗生物質と痛み止めとおぼしき飲み薬が処方されていたはずです(当時の記憶があいまいで申し訳ないですが、術後の処方として一般的なのはこの2種類だと思います)。それでも、その夜の痛みを完全に消してくれるほどではありませんでした。

「これで本当に大丈夫なんだろうか」──不安の中で迎えた、植毛初日の夜でした。


21歳の自分が一人で受けてよかったか(約20年後の視点)

約20年経った今、当時の自分に何を伝えたいか。

正直に言います。一人で受けるのは、おすすめしません

理由は3つあります。

  • 帰り道がしんどい:麻酔のだるさと術後の痛みを抱えて、長時間の移動を一人で乗り切るのは想像以上に辛い
  • 何かあったときに対応できない:気分が悪くなったり、出血が増えたりしたとき、付き添いがいるかいないかで安心感がまるで違う
  • 精神的に孤独:人生で大きな決断をした日に、誰にもその実感を共有できないのはきつい

もし時間とお金に余裕があるなら、家族や友人に付き添ってもらうか、クリニック近くのホテルに前泊・後泊するのを強くおすすめします。

僕が当時できなかったのは、純粋に「お金がなかった」「親に話せなかった」という事情からでした。でも今なら、無理してでも誰か一人には話して、一緒に来てもらうと思います。

これは手術そのものではなく、手術を受ける環境設計の話です。植毛検討中の方は、ぜひこの部分も含めて準備してみてください。


まとめ|21歳の自分に伝えたい3つのこと

  • 一人で受けない、長距離の自力帰宅は避ける:付き添い・近隣ホテルの選択肢を最初から検討しておくと安心
  • 手術当日は約7時間、麻酔で意識を失う時間が大半:痛みは麻酔注射のチクッだけだが、術後の傷の痛みは別物として覚悟しておく
  • 帰宅後の夜が一番しんどい:仰向けで寝られない・痛み止めが効ききらない・不安が押し寄せる。家族に話しておけるなら話しておくほうが楽

21歳の僕は、貯金50万円を握りしめて、一人で電車に乗って手術を受けに行きました。仕上がり自体には満足しています。でも、手術当日の体験そのものをもう一度繰り返したいかと聞かれたら、答えはNOです。

それくらい、当日と帰宅後の数時間は、心身ともに消耗する時間でした。

これから植毛を検討する方には、術式やクリニックの比較だけでなく、「当日をどう乗り切るか」の環境設計まで含めて考えてほしいと思います。


次回予告|第4話:術後経過編

次回は、手術翌日からの経過の話です。

  • 包帯を外した瞬間に見えた頭の状態
  • かさぶた・かゆみ・腫れのリアル
  • 髪が「生え揃ってきた」と実感できたのはいつか
  • 半年後・1年後の生え際の変化

手術当日が「壮絶な一日」なら、術後経過は「気が遠くなるような長期戦」でした。続きも読んでもらえたら嬉しいです。

あわせて読みたい前話はこちらです。


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※この記事はデコ丸個人の体験に基づいています。感じ方や結果には個人差があります。植毛を検討される方は、必ず医療機関にご相談ください。

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